今日はこちら。
2003年7月1日。
その日は当時の最新セットスカージがトーナメントで使用可能となる最初の日でした。
しかし同時に禁止改定が施行される日でもありました。
スカージで登場した精神の願望が禁止されたのはまさにその日のことです。
精神の願望は青6マナのソーサリー。
その効果はデッキをシャッフルし、その一番上を追放、そのターン中あなたはそのカードをマナ・コストを払う事無くプレイできるというもの。
6マナもかけてやる事が博打。
デッキを混ぜる為仕込みも難しく、プレイできるとはいえ土地がめくれればとても6マナ相応の働きとは言えないでしょう。
このカードの強みはストーム。
スカージで登場したMTG史上最も壊れたメカニズムの一つとされるストームは、唱えた際にそのターン中にそれを唱えるより前に唱えた呪文1つにつき1回その呪文をコピーできます。
1枚めくっても何も起こらない事は多いでしょうが、それが3枚、4枚となれば話は別。
またこのカードの効果自体がストームと相性がよく、めくれたカードの中にまた精神の願望があればフィーバータイム。
めくれた他のカードを唱えて再びストームを稼いでいき、最後に精神の願望を唱えれば10数枚をめくる事もしばしばあり、デッキをすべてひっくり返す事もそう珍しくありませんでした。
最後は同じくスカージで登場した苦悶の触手ないし思考停止。
相手を倒すまでに必要なストームはそこまでで充分稼ぎきれている事でしょう。
なぜそんな事が分かるかと言えば、精神の願望がエクステンデッドで活躍したから。
冒頭の禁止は実はレガシー(当時のタイプ2)でのみ行われた改定であり、当時はスタンダードとレガシーの間にもう1つローテーションするモダンのようなフォーマットが存在しました。
現在の精神の願望の逸話は基本的にこのエクステンデッドでの話。
仮にこのカードが当時のレガシーやヴィンテージで規制されていなければどうなっていたか。
それを想像させるのに、充分な説得力を持っています。
時は流れ2023年8月7日。
20年以上の眠りについていた精神の願望は遂にレガシーに解き放たれる事になりました。
しかし当時は存在しなかった対策カードが現在のレガシーには大量に存在します。
スレイベンの守護者、サリアは本体や儀式に追加コストを要求し、完走を困難にさせます。
精神壊しの罠は大量にコピーされた精神の願望を根こそぎ追放します。
むかつきはマナ総量の軽いストーム・デッキに取ってより安定したアドバンテージ源となるでしょう。
これらは精神の願望が環境入りするに際し、大きな壁となりそうです。
とはいえそのポテンシャルはまだ未知数。
長い時を経て復活した願望が世界を滅ぼすのか。
あるいはまったく成果を出せず、ヴィンテージで解禁される可能性も…?
ではでは!