現在のトップメタはジェスカイヨーリオンだ。
トークンにルーカの能力を使うことで、
デッキ内に入っている唯一のクリーチャーである裏切りの工作員を出し、
それをヨーリオンでブリンクする…。
このあまりに強力な動きは他のデッキを圧倒し、
特にミッドレンジ以降のデッキに対し、高い勝率を叩きだしている。
また、このほかにもバントランプやティムールエレメンタル等、
数々のデッキにこの鳥は採用されている。
これらのデッキの共通点はすべて長期戦に強いことだ。
今まで出したカードがもう一度効果を発動すれば、
それは莫大なアドバンテージとなる。
一方でその条件を満たすためには、
ある程度盤面にそういうパーマネントを並べる必要があるので、
一定の時間が必要となる。
相棒のデメリットの一つとして彼らはマリガン前に公開されてしまう。
あなたはそれを見て相手のデッキタイプを想定することができる。
オボシュならアグロデッキだ。
ジャイルーダはおそらくコンボだろう。
ケルーガは、おそらくジェスカイファイアーズだろう。
通常あなたの対戦相手がヨーリオンを公開してきた場合、
あなたは長期戦に向けてマリガンすることができる。
赤単ヨーリオンはそれを逆手に取った構築だ。
デッキの中身は完全に赤単で、
長期戦を予想してマリガンした相手はなすすべもなくやられてしまうだろう。
土地からは全く青マナや白マナが出ず、
ヨーリオンは完全に相手にデッキタイプを誤認させるようにしか使われていない。
思い切った構成だが、
ヨーリオンを出すためにショックランドを8枚入れてもそれらを2枚引かなければ出せないうえ、
サイド後はどうせ使えないので理にかなった選択と言える。
また、サイドボードはヨーリオンわずか1枚となっており、
メインを取った後は14枚抜いて66枚デッキで戦うことで、
勝率を落とさない工夫をされている。
相棒をわざわざ採用するならばそれを生かすようにデッキは組まれているだろうという常識を破る戦術。
あの相棒はこの戦い方…と分かってきたところで裏をかく。
こういうところがMTGは面白い。
ただし、これはあくまでアリーナ上だけでしか通用しない。
FNMの場合最初にお互いのサイドボードが15枚あることを確認することはよくあるし、
大会などだとリスト公開の場合もある。
対面しないオンライン上だけでこそ生まれる戦術というのも時代を反映していて面白い。
これからもあっと驚くようなデッキが我々を驚かせてくれるだろう。ではでは!
参考: