今日はこれについて。
『ゼンディカーの夜明け』で黒の対象を取るエンチャント除去が出るという話が出て、カラーパイやその他いろいろと話題になった。
なぜ黒がエンチャントを割れるのか。それについて考えようと思う。
1.それはゲームバランス上必要だから
第一の原因はこれである。
パーマネントを破壊できない青以外はそれぞれ一種類ずつ割れないパーマネントがあった。
すなわち白には土地、赤にはエンチャント、緑にはクリーチャーである。
しかし、黒はアーティファクトとエンチャントその両方ともに触れなかった。
これは黒の魔導士を度々不満にさせた。(※1)
またアーティファクトが赤緑白の3色が割れるのに対し、エンチャントは緑白の二色しか割ることができない。
エンチャントがアーティファクトより割りづらいことに正当性はなく、これも不可解な現象だった。(※2)
その為、黒が今後エンチャントを破壊できるように色の協議会が決めたため、今回のような対象を取るエンチャント破壊が黒にも与えられたというわけだ。
ここで問題が一つある。
黒は悪魔と契約を交わす色であり、その契約は通常エンチャントと言う形で表現される。
もし黒が悪魔と契約を交わし、それを自力で破壊できるとしたら、それはもはやデメリットの有る契約とは呼ばれないのではないだろうか。
その為、これまでに登場した黒のエンチャント破壊二枚はいずれも相手にエンチャントを生贄に捧げることを強要するものであり、自分の契約破棄のためには使用できなかった。
その為に今回の対象を取る黒のエンチャント破壊に対しても同様に、「対戦相手のコントロールする」などの制約が課せられている可能性が高い。
割れるようになったとはいえ依然黒はエンチャントを割るのは苦手なままである。
2.それは腐敗と荒廃の色だから(※3)
エンチャントとは土地に仕掛ける結界のようなものである。
自分が仕掛けたエンチャントの中では、自分が有利に戦える。
本来魔法使いの対戦は決戦前に相手より多くの結界を張り巡らせ、いかに相手の策を上回るかという頭脳戦であり、多くの場合試合が始まるときにはもう決着がついている。
またオーラというものもあり、これはドラクエで例えるとスクルトやバイキルトである。
ドラクエをやった人ならスクルトやバイキルトを予めかけておけばよいと思ったことはないだろうか。
なぜしないかというとそれらの呪文には持続時間があるからである。
魔法がかかっている状態というのは通常魔力を供給し続けている状態であり、長ければ長いほど魔力を消費する。
これは魔法使いが常に使い魔を出し続けていない理由でもある。
ただ我々は魔法使いではなく、プレインズウォーカーであるので、扱う魔法はより強力であり、エコーでもなければ魔力を注ぎ続ける必要がない。
ただし、時間が経てば効力が失われるというのは同様である。
黒は結界を腐敗させる。陳腐化させる。
ある程度時間が経てば効力をなくす結界の破壊は黒にとって可能なことであった。
決して容易ではなく、多くの魔術師の努力の結晶だが(※4)、遂に彼らは悲願である結界の破壊を行うことに成功した。
アーティファクトも同様に破壊できないだろうか。無理だ。
アーティファクトは主に何千年も前に作られた魔力のこめられた物品である。
最早失われた技術かもしれないし、今なら3分で作れるものかもしれないが、とにかくアーティファクトの特徴としては一度作られれば半永久的に機能し続けるということである。
試合が終われば効果の切れる結界とは違い、例え数年経年劣化しようとこれは無効化されないだろう。
これを破壊する為の方法の開発にはまだまだ時間がかかりそうだ。
あるいは彼らは別の道(例えば他の魔術師を利用するとか)を目指した方がいいかもしれない。
今日はここまで。ではでは!
※1.近年土地破壊が楽しいゲームプレイを阻害するものとして、土地破壊呪文は弱体化の一途をたどっている。
その為、現在では赤緑黒そのどれもが碌に土地を破壊することができない。
これは白の優位性を高めている可能性がある。
※2.一般にデッキの色を問わず使うことができる無色呪文は有色呪文より弱めに作るべきであり、通常無色であるアーティファクトが通常有色であるエンチャントより割りやすいのはそこまで問題に感じない。
しかし、アラーラで登場した色付きアーティファクトは今や断りなく通常のセットで使えるレベルまで普及しており、そういった動きの中でエンチャントとアーティファクトのパワーレベルを合わせようとするのは妥当かもしれない。
※3黒は周囲を汚染する色であり、それが結界を汚し無効化させるという説もある。
※4最も黒の魔術師は自己の力を第一に考えるため、結果的に蓄積されたものとはいえ、彼ら一人一人はのちの魔術に貢献しようという思いを持つ者はだれ一人いなかっただろう。